プロ格闘家として活躍しながら、総合格闘技スタジオ『STYLE』を設立。一度は格闘技を引退するも、2017年、中学生の頃に抱いた夢を叶えるべく、43歳でプロレスラーとして復帰。現在は経営者、一般社団法人の理事、高校の校長先生、そして現役プロスラーとしてリングに立たれている池本さん。格闘技を通じて人々を幸せにすることを目指し、多岐にわたる活動を展開されています。池本さんが格闘技を軸に描く未来と、その挑戦に込めた熱い想いを伺いました。
チャンピオンになって気づいた「本当に自分がしたかったこと」
「中学生の頃は、将来の事を考え、週3回塾に通い、毎日深夜まで勉強していました」そう振り返る池本さんの人生は、勉強の合間に何気なくつけたテレビのプロレス番組をきっかけに大きく動き始めます。
「プロレスの試合は魂を震わせるほど感動的で、こんな風に人に感動を与える仕事があるんだと初めて知ったんです」と池本さん。

「プロレスラーになる」という目標が生まれ、大胆にもそれまで通っていた塾を全て辞め、トレーニングに集中することを決意、格闘ジムにも通い始めます。
すると、ジムの代表から「君にはセンスがある。まずは格闘家としてやってみたらどうだ」と声をかけられ、格闘技の道へ進むことに。
順調にキャリアを築き、2007年の33歳で第3代DEEPウエルター級チャンピオンのタイトルを獲得しました。

しかし、憧れだったチャンピオンの座に就いた日、”自分が思っていたほど喜べていない”ことに気づいたという池本さん。「チャンピオンになって涙を流しながら喜ぶ姿をイメージしていたのに、全然涙が出てこない。なぜなんだろう?」と考えながらふと携帯電話を見たそうです。すると、
応援してくれた人たちから『勇気をもらいました』『夢を与えてくれてありがとう』といったメッセージをたくさんいただいて、「それを見た時、涙が溢れてきました」とその時を振り返られます。

「その瞬間、僕はチャンピオンになることで、人を喜ばせたかったんだと気づきました。人の喜びが自分の喜びになることに気づいたんです。この経験がその後の人生観を大きく変えるきっかけとなりました」と話されます。
生活のために設立した総合格闘技スタジオ『STYLE』
「23歳でプロになり、週6日ジムに通っていました。強くなるための練習は欠かさず、空いた時間はアルバイトに費やしていましたが、それでも生活は厳しかった」と振り返ります。

格闘家としてのキャリアは順調で、チャンピオンを目指してステージを上がっていきましたが、経済的には常に不安定な状況でした。
そんな中、生活を安定させるため、プロ格闘家として活動しながら、32歳の時に町道場を立ち上げました。これが現在の「総合格闘技スタジオSTYLE」の始まりです。

現在の「総合格闘技スタジオSTYLE」は、プロの育成もするジムですが、他の11店舗のSTYLEは、キックボクシングフィットネスに特化し、従来のように選手志望者だけを対象にしたジムではなく、格闘技をフィットネスとして楽しめる場を目指しています。特に、これまでターゲットになりにくかった女性にも満足していただけるよう、内装やプログラム、サービスには徹底的にこだわっています。

「『ミット打ちや運動が好きになりました!』という会員さんからの御言葉がすごく嬉しい」と笑顔で話されます。
格闘家がセカンドキャリアを築ける場を作りたい
また、STYLEは、現役選手がトレーナーとして働ける環境も整えています。思い描くのは、引退後も格闘家が胸を張って輝ける場所です。

「現役時代からトレーナーとしての経験を積むことで、引退後のキャリア形成をサポートしたい」と池本さん。「選手としての経験を活かし、人々に喜ばれる仕事をする」それが格闘家のセカンドキャリアとして理想的だと考えています。
そんなSTYLEのトレーナーは、選手としての経験を最大限に活かしながら、自信を持って指導にあたります。
また、池本さんは「格闘技を通じて得た経験やスキルが、社会に役立つことを実感できる場を提供したい」という考えから、引退後も安心して活躍できるようにと、一般社団法人日本キックボクシングフィットネス協会を設立し、トレーナー資格制度を立ち上げました。

「マンツーマン指導の資格を持つことで、自信を持ってキャリアをスタートできます」と池本さん。
「選手としての経験が資格に繋がると、自分を活かして次のステージに進みやすくなります」とも話すように、資格取得によるスキルの可視化が格闘技界の未来を支えています。
また、この資格制度は指導者だけでなく受講者にもメリットがあり、格闘技初心者でも安全で効果的なトレーニングを受けられるようになっています。
こうした取り組みは、格闘技の裾野を広げるとともに、引退後の選手たちに希望を与えています。
「STYLE高等学院」開校 ”戦う校長”の誕生
さらに、「格闘技に本気で取り組みたい子どもたちに、学業と両立できる環境を作りたい」という想いから、2018年に「STYLE高等学院」を開校されます。

この学校は通信制高校との連携により、格闘技を学びながら高卒資格を取得できる仕組みを構築しており、卒業生の中からはすでにK-1甲子園優勝者やプロチャンピオンが誕生。
「高校に通いながらプロを目指せる場所があれば、子どもたちの可能性は広がる」この取り組みは、多くの生徒たちの夢を後押ししています。
また、学業と格闘技を両立しながら、社会経験やトレーナー資格の取得も可能なこの高校の校長先生として、池本さん自身もプロレスラーとして戦い続ける姿を見せることで、次世代の格闘家たちに夢と希望を届けています。
今後の目標について
「格闘技を通じて、人々をもっと幸せにしたい。それがこれからの目標です」
そう語る池本さんは、現在、高齢者向け健康プログラムの全国展開を目指しており、「日本はこれから高齢化社会が進む中で、健康寿命を延ばす取り組みがますます重要になる。そこでキックボクシングを活用して、その一助となりたいんです」と話します。

また、ビジョンは日本国内にとどまりません。
「格闘技は言葉を超えて人々をつなげる力を持っています。いずれは海外のジムや教育機関とも連携し、世界中の人々が笑顔になれる場所を作りたいですね」と未来を見据えています。
「例えば、親子で参加できる格闘技プログラムや、障害のある方、インバウンド、企業の福利厚生、格闘技の魅力をもっと多くの人に届けたいと考えています」と話され、新たなプログラムの開発も計画中です。

「格闘技を通じて、人と人がつながり、前向きなエネルギーが生まれる。その輪をこれからも広げていきたい」、さらに「目の前の人を幸せにすることが、やがて社会全体を変えていく」と話す池本さんは、格闘技が持つ”人を笑顔にする力”を信じています。
チャンピオンになって気づいた”本当に自分がしたかったこと”
「自分の格闘技経験を社会に還元し、人々の生活を少しでも良くする手助けをしていきたい」そんな想いを胸に、池本さんの挑戦はこれからも続き、多くの人々に希望や喜びを届けていくことでしょう。

■池本 誠知(いけもと せいち)さん プロフィール
・キックボクシングジム12店舗
・一般社団法人日本キックボクシングフィットネス協会 理事
・STYLE高等学院 校長
・プロレスラー
・総合格闘技団体GLADIATORスーパーバイザー
・経営実践研究会アドバイザー
・一般社団法人 関西・健康経営推進協議会 のアドバイザー
・Human Athletes Nexux アドバイザー
・御影プロダクション所属(芸能)
▷2018ミスユニバース大阪ビューティーキャンプキックボクシングクラス講師
▷2018ミセスジャパン大阪キックボクシング講師
▷関西コレクション神戸校キックボクシングクラス講師
▷令和の虎オール達成
▷大阪トップランナー育成事業認定
▷令和元年未来創造企業認定
▷大阪府ベンチャー企業プロジェクトBooming!4期合格
▷大阪公立大学ヘルステックスタートアップス2024メンター
▷論語と算盤大賞受賞
【格闘技歴】
※プロ格闘家としての主な経歴
・第3代DEEPウエルター級チャンピオン
・K-1、PRIDE、DREAMなどのリングで活躍した後、2013年4月引退
・2017年より”戦う校長”として、プロレスラーとして活動
【書籍】
『一生疲れないからだになる ゆる筋のつくりかた』
Amazonランキング1位(トレーニング部門)
八重洲ブックセンター1位(週間ランキング)
『伝えたい、未来を創る会社』
株式会社STYLE掲載
【DVD】
『KICKFIT text キックボクシングフィットネス AtoZ』
HP:https://kick-style.com/