不動産会社アインスタインエステート株式会社の代表を務めながら、「交通安全みまもり隊 」として地域の皆様と連携し中大江小学校通学路の交差点で旗振り活動を実施。最近では地域の方々のご相談を受け「こどもの居場所」をオープンするなど、誰もが笑顔で過ごせる街づくりに貢献する山田さん。不動産会社の代表が地域の活動をする理由とは?心に秘めた熱い思いを伺いました。
地域に笑顔を届ける自動販売機
「うちの建物だけではなく、周辺の建物もきれいに管理されていれば、地域全体が良くなります。そんな環境を作りたい。不動産業者は、もっと地域のことを考えるべき」。
そう語る山田さんは、不動産の仲介業務のほか、ビルやマンションなど25棟の建物管理業務を主に行う不動産会社の代表です。
通常の不動産管理会社は、管理する物件を美しく保ち、満室にしてオーナーから報酬を得ることが第一。しかし、一つの建物の管理の影響は周囲の建物や街全体にも及ぶことから、山田さんは地域全体の活性化を常に考えます。

例えば、管理するマンションには、自身のお子さんや地域の子供が描いた絵がラッピングされた自動販売機が設置されています。子どもの可愛い声が録音されており、お金をいれると、様々な国の言葉で「ありがとう」としゃべります。単なる装飾ではなく、「帰宅した際に、少しでも温かさを感じてもらえるように」という思いで地域に笑顔を届けます。
「一人暮らしの人って、もしかしたら、夕方6時に家に帰ってから翌朝会社に行くまで誰とも話さないことがあるんです。LINEのやりとりはしても、実際の会話はない。そんな時、マンションに飾られた子どもたちの絵やメッセージが目に入れば、声は聞こえないけれど、心には届く」と山田さん。
また、「視覚的に温かさを提供し、街全体を明るくしたい」と、管理するビルの自動販売機にも、入居する英会話スクールの生徒が描いたイラストを飾っています。

「地域のことを考え、住民に安心感と笑顔をもたらすような仕掛けを考える管理会社が増えれば、すべてのマンションがきれいになり、地域として、街全体として良くなるのではないでしょうか」と、その意図を笑顔で語ります。
人と同じことをすることに興味がなかった幼少期
「他の子どもたちとは違ったことに興味を持つ子どもだった」と山田さんは幼少期を振り返ります。
ジャングルジムやシーソーなど、一般的な遊具にはほとんど興味を示さず、むしろ自分で考えたゲームや遊びを友達と一緒に楽しむことを好んでいました。
「既存の遊びに参加するのは面白くなかった」という言葉に、新しいことを自ら生み出し楽しむ姿勢が子ども時代から根付いていたことが伺えます。
「友達と一緒に作った秘密基地にテレビを持ち込み、みんなで一緒に見たり、何をして遊ぶかを考えたり。自分たちの力で一から遊びの場を作り出すことが、何よりも大きな楽しみでした」。

現在も、独自のヘアスタイルを貫いていて、毎月2回美容院に通っては、自分のスタイルを楽しむ山田さん。幼少期から持っていた「人とは違うことをしたい」という感覚が今でも強く残っているようです。
地域の安全を守る「交通安全みまもり隊」
『中大江小学校みまもり隊』として、山田さんは毎週木曜日、子どもたちの登校の安全を守るために旗振りをしています。
「地域貢献として通学路で旗振りすることは、学校や保護者の負担が軽減されるだけではなく、企業にとっても大きなメリットがあります」と山田さん。

「朝、出勤前に旗を振り、子どもたちの笑顔を見てから仕事に向かうことで、社員たちのモチベーションもぐっと上がる。『今日は旗振りしてきた』と誇らしげに話す社員がいれば、職場全体の雰囲気も明るくなるはずです」とその理由を語ります。
「社員が朝の30分、旗振りに参加し、その後に仕事へ戻る。この小さな取り組みが、地域全体を明るくし、安心感を生むんです。こうした関係性が広がることで、地域全体が一丸となって未来を作ることができる。
そんな企業を巻き込んだ取り組みにしていけたらと考えています」と将来を見据えています。

旗振りの前後には地域のゴミ拾い実施。ごみを集める過程で、地域の新しい発見や驚きに気付きます。
宿題カフェでの新たな挑戦
「親の余裕が子どもの成長に直結します。子どもたちが放課後に安心して過ごせ、宿題をできる場所を提供すると同時に、お母さんたちに自由な時間を作ってもらいたくて」。
2024年6月、山田さんは「一般社団法人でんでん」を設立し、自身が管理する建物の一階にあるバーを活用した「宿題カフェ」を始めました。

「宿題カフェは、これから地域の企業や住民の協力を得て運営したい。例えば、地域の母親たちが手伝いに来てくれたり、高齢者や大学生にも参加してもらい、募った寄付からバイト代を支払ったりする仕組みを考えています」とのこと。
さらに夏祭りやクリスマス会も計画していて、来年以降は遠足などのイベントも。それらを地域住民や企業との協力で進めていくことで、「宿題カフェ」を地域の大人と子どもが出会い、交流する場にしたいと語ります。
企業にとっては住民との接点を持つ貴重な機会であり、子どもたちに仕事や社会について伝える場にもなる「宿題カフェ」。
大人との交流を通じて、子どもたちが将来の夢や目標を持つきっかけになるかもしれません。

今後の目標について
「この街を大阪で一番輝く街にしたい」と話す山田さん。
そのためには、「まず、みんなが仲良くすることが重要」。地域の人々が互いに協力し合い、共に成長することで、街全体が活気づくと信じています。
「2030年までに、この街に300カ所の『笑顔になれる場所』を作る」というビジョンを掲げ、「出会いの場」と「地域の繋がり」を増やすことから始めています。

「旗振り」活動や「宿題カフェ」はその一環。これらの活動を通じて、地域の大人たちが子どもたちと触れ合い、互いに顔を合わせる機会と笑顔になれる場所を創り出しています。
「街の至るところに人々が笑顔になれるような仕掛けを作り、街全体を明るく元気にすること。地域の大人が中心となって「場所・人・お金」を考え、子どもたちのために協力し合う『タニマチ』を創る」のが近い将来の夢。
「大きな力ではなく、みなさんの少しずつの『気持ち』を集め、子どもたちが大人になったとき『この街に育ててもらったから、自分たちも子どもたちに何かしよう』と思える街づくりを目指していきたい」。山田さんの熱い思いが、タニマチの人々に広がっています。

■山田 暁(やまだ さとる)さん プロフィール
1979年生まれ。福岡で生まれ、吹田で育ち。インストラクター兼イベンターとして、スポーツクラブに勤務後、不動産業界に転職し2021年9月、アインスタインエステート株式会社の代表に就任。「2030年までに、街に300ヶ所の笑顔になれる場所を作る」を目標に、子どもの居場所づくりなどを通じた街づくりを進めている。2024年6月、「一般社団法人でんでん」を設立。2児の父。
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